俳句と聞くと、四季の移ろいや情緒を織り交ぜた、ちょっと敷居の高い趣味だと思っていませんか?
「何だか難しそう…」「自分にはそんな感性ないし…」と感じてしまう人も多いかもしれません。
でも実は、俳句はもっと気軽に楽しむことのできる“言葉の遊び”なのです。
特に中学生や高校生のみなさんは、毎日接している「部活動」をテーマにしてみるのがおすすめでしょう。
本記事では、部活動を切り口にしながら俳句をつくるコツなどを紹介していきます。
身近なテーマである「部活」を俳句の題材にするには?
中高生の皆さんは、まず自分が所属している部活動を思い浮かべてみましょう。
そして、その部活を象徴する「道具」や「場所」「音」など、印象に残るものをリストアップしてみてください。
・野球部なら…「バット」「グローブ」「白球」「ベンチ」「グラウンド」
・吹奏楽部なら…「クラリネット」「譜面台」「チューニング」「音楽室」
思いついた中で、自分にとって特に思い入れのあるものを一つ選びましょう。
それが、今回作っていく俳句の“主役”となるわけです。
次に考えるのは「季語」!部活と季節のつながりを想像しよう
俳句では、季節感を表す「季語」が重要な役割を果たしていると言っても過言ではありません。
季語といっても難しく考えず、「その道具を使っていた季節」や「その場面を思い出す季節」を想像してみてください。
たとえば「ボール」を題材にするなら…
・夏:打球音が響く灼熱のグラウンド、甲子園の雰囲気
もし季節感がピンとこない時は、別のアイテムに切り替えて、もう一度イメージを膨らませてみるといいでしょう。
いよいよ俳句にまとめよう!言葉選びはリズムを意識しながら
テーマと季語が決まったら、「五・七・五」の定型に沿って言葉を組み立ててみましょう。
ただし、最初は音の数にとらわれすぎなくて大丈夫です。(「字余り」や「字足らず」になってもOKです!)
自分が感じたこと、伝えたい情景などを、思いついた言葉で自由に表現してみましょう。
これを何度も続けていくうちに、自然と五・七・五のリズムが身についていきます。
ちなみに、「きゅう」「しゃ」などの拗音(小さな「ゃゅょ」などを含む音)は一つの音として数えます。
俳句はルールがあるからこそ、遊び心と工夫が生きる表現方法です。
自分だけの「部活俳句」に是非ともチャレンジしてみてください!
参考になるサンプル実例をご紹介!部活俳句のヒントにどうぞ
「テーマも決めたけど、実際にどう詠めばいいかわからない…」という人のために、部活動を題材にした俳句の例をいくつか紹介します。
まるで答えを見ている気分になるかもしれませんが、それでもOKなので、まず最初はマネすることから始めてみましょう。
部活俳句のテーマその1:「野球部」
「野球部」をテーマにした俳句の事例サンプルは、以下の通りです。
寒さの厳しい冬の朝練、白い息を吐きながらキャッチボールやノックをこなす風景を詠んだ句です。
「白息交わし」は、寒空の下でも声をかけ合って練習に励む仲間同士の連携や温かさを表現しています。
静かな冬のグラウンドに、掛け声だけが響く凛とした空気感が伝わる一句です。
部活俳句のテーマその2:「陸上部」
「陸上部」をテーマにした俳句の事例サンプルは、以下の通りです。
新学期が始まる時期に、春のグラウンドを駆け抜ける姿を詠んだ句です。
「春疾走」は、春の清々しさと、これからの記録や大会に向けた意気込みを込めた表現となっています。
風を切って走ることで、前へ前へと進む陸上部の情熱が伝わってきます。
部活俳句のテーマその3:「サッカー部」
「サッカー部」をテーマにした俳句の事例サンプルは、以下の通りです。
引退間近の3年生が、最後の大会の試合を行っている風景を詠んだ句です。
雨上がりのグラウンドでボールを追いかけ、泥だらけになりながらも全力を尽くす仲間たち。
勝敗よりも、その瞬間の「汗と笑顔」がまぶしく心に残る、そんな情景を表現しています。
部活俳句のテーマその4:「バスケットボール部」
「バスケットボール部」をテーマにした俳句の事例サンプルは、以下の通りです。
冬の寒い日に、息が白くなるような朝練を行うシーンを表現しています。
静かな体育館に「バスッ」とシュートが決まる音が響く瞬間、その音と冷たい空気の対比が印象的です。
凍える季節でも熱意は変わらない、そんなバスケ部の日常を切り取りました。
部活俳句のテーマその5:「吹奏楽部」
「吹奏楽部」をテーマにした俳句の事例サンプルは、以下の通りです。
雨の季節、梅雨のしとしととした音と重なるように奏でられるリズムをイメージした句です。
「傘と舞う」は、部室の窓の外で傘をさした生徒たちが行き交う中、吹奏楽部の練習音が響き続けている様子を描いています。
天候に左右されず、コツコツと音楽に取り組む姿勢を、情緒ある雨の風景と重ねました。
部活俳句のテーマその6:「美術部」
「美術部」をテーマにした俳句の事例サンプルは、以下の通りです。
春の陽ざしが差し込む部室で、静かに絵を描く時間を表現した俳句です。
窓の外では花が咲き、暖かな空気が漂う中、黙々とキャンバスに向き合う様子を描いています。
にぎやかな部活とは対照的に、「静けさ」に包まれた美術部らしさを表現しました。
部活俳句のテーマその7:「帰宅部」
「帰宅部」をテーマにした俳句の事例サンプルは、以下の通りです。
どの部活動にも所属せず、一人で帰宅する日常を表現しています。
周囲のにぎやかな放課後とは少し距離を置いた、静かな自分だけの時間を詠んだ句です。
夕暮れの中、伸びてゆく自分の影を眺めながら歩く姿には、少しの孤独と、自由さ、そして“自分のペース”が込められています。
他にも、全国各地で開催されている俳句コンクールには、部活や学生生活を題材にした素敵な作品がたくさんあります。
気になる人は、入賞作などを調べて、発想のヒントにしてみるのもおすすめでしょう。
どのような言葉を選び、どのような情景を切り取るか…などはあなた次第です。
あなたの部活の“あるある”や“ひとコマ”が、きっと一句の材料になるはずです!
まとめ
俳句は「季節」+「自分の感情や体験」を17音で表現する、自由で楽しい言葉のアートです。
部活動は、中学生&高校生の生活の中でも特にドラマが詰まっているテーマであり、グラウンドの汗、楽器の音、静かな練習時間…これら全てが句の素材になります。
テーマ選びに迷ったら、まずは自分の部活にある「モノ」「場所」「音」「動き」をリストアップしてみましょう。
季節感を添える「季語」を組み合わせることで、ぐっと雰囲気のある句になります。
初心者でもOK!まずは思い浮かんだ言葉で自由に書いてみましょう。(リズムや字数は後から整えても大丈夫!)
たくさんの俳句コンクールも開催中!人の作品を読むのもいいヒントになります。
「何を詠めばいいかわからない…」そんな時こそ、毎日取り組んでいる“部活”にヒントがあるはずです。
自分の青春を、五・七・五のリズムで切り取ってみてください!