節分では豆まきとともに、恵方巻きを食べる習慣が全国へと広まっています。
恵方巻きを食べる際には、特定の方向、即ち恵方を向いて無言で食べるという特別なルールが存在します。
この恵方(または吉方)と呼ばれる方向は、一年ごとに変わるのが特徴です。
これは五行思想や干支の周期に基づき、その年に最も縁起が良いとされる方向が選ばれるためです。
恵方はその年の干支に関連して、福をもたらすとされる守り神が存在する方向と定義されます。
恵方巻きを無言で食べるという独特な習慣は、言葉によって福を逸らさないため、または目標や願い事が叶うように集中して行うことを象徴しています。
本記事では、恵方巻きを食べる際になぜ特定の方向を向くのか、そしてその方向がなぜ毎年変わるのかを解説していきます。
恵方巻きとは?
恵方巻きとは、節分の日(2月3日ごろ)に食べられる特別な太巻き寿司のことです。
具材には、かんぴょう(干瓢)、きゅうり、しいたけ、甘いたまご焼き、鰯の煮付け、鰹や鮭などの魚介類が使われることが一般的です。
恵方巻きの特徴的な食べ方としては、その年の恵方(吉方位)を向いて、無言で巻き寿司を丸かぶりすることです。
これには、願い事をするときに声に出さずに心で願うという意味が込められています。
恵方巻きを食べる習慣は、関西地方から広まったものですが、今では全国的に知られる風習となっています。
恵方巻きの方角の意味について
恵方巻きを食べる際に向くべき恵方は、その年に縁起が良いとされる方角を指しており、歳徳神が存在するとされる方向でもあります。
歳徳神は幸運や富を司る神で、この神が存在する方向に向かうことで多くの福を呼び込むとされます。
歳徳神の位置は年ごとに変わるため、恵方もそれに応じて変化していきます。
具体的な方向としては、以下の4種類が挙げられます。
・東北東
・南南東
・西南西
かつては、新年を迎えると同時に、家から見て恵方にある神社に初詣を行うという習慣もありました。
この行動は、「一年間の幸運を祈願する」という意味合いがありました。
恵方の元となる十干の種類
恵方巻きの方角、すなわち節分で向くべき吉方を決めるのは、「十干」という古代中国からの体系に基づいています。
十干は、干支システムと深く関連しており、以下の10種類で構成されています。
・乙(きのと)
・丙(ひのえ)
・丁(ひのと)
・戊(つちのえ)
・己(つちのと)
・庚(かのえ)
・辛(かのと)
・壬(みずのえ)
・癸(みずのと)
これら十干は10年周期で循環するので、覚えておくといいでしょう。
そして、十二支は次の12種類であり、12年周期で循環します。
・丑(うし)
・寅(とら)
・卯(うさぎ)
・辰(たつ)
・巳(へび)
・午(うま)
・未(ひつじ)
・申(さる)
・酉(とり)
・戌(いぬ)
・亥(いのしし)
十干と十二支の組み合わせは全60パターンであり、60年で一巡りすることになります。
恵方はこれに基づいて選ばれ、その方角に恵方巻きを食べることで、その年の福を招くとされます。
十干は日本の生活にも影響を与えており、例えば焼酎の甲類と乙類、資格試験の甲種・乙種、契約書の甲・乙・丙などに用いられます。
また、四柱推命などの占星術に用いられているのも特徴的です。
十干に基づいて決定される恵方巻きの方角
恵方巻きの方角は、十干を基に決定されます。
以下は。十干とそれに関連する方角です。
・乙(きのと)と庚(かのえ)は西南西方向
・丙(ひのえ)、辛(かのと)、戊(つちのえ)、癸(みずのと)は南南東方向
・丁(ひのと)と壬(みずのえ)は北北西方向
例えば、2025年の干支である「乙巳(きのとみ)」においては、乙(きのと)が示す方向は西南西です。
これにより十干が巡る4つの主要な方向を用いて、西暦の最後の一桁に応じて恵方を決定する方法があります。
・5または0の年は西南西
・1、6、3、8の年は南南東
・2または7の年は北北西
例えば、2026年の恵方は「南南東」になります。
このように恵方巻きを無言で食べることは、その年の運を良くするための習慣とされています。
方向が不明な場合は、こちらの一覧表を参考にしてください。
2024年から2031年までの恵方のサイクル
以下に、2024年から2031年までの各年における恵方の方角を示す一覧表を紹介します。
この表を参照すると、恵方が5年ごとに循環しているパターンが明確になります。
・2025年:西南西
・2026年:南南東
・2027年:北北西
・2028年:南南東
・2029年:東北東
・2030年:西南西
・2031年:南南東
この周期を知ることで、特定の年にどの方向に恵方巻きを向けて食べるといいのかを簡単に把握できるでしょう。
まとめ
今回は、恵方巻きの方角が一年ごとに変更される理由などについてまとめました。
恵方巻きの方角が毎年変わるのは、その年の恵方(福を呼び込むとされる吉方位)に基づいているためです。
恵方は道教や陰陽道に由来する風水思想に基づき、その年の干支(十二支)に対応する方位が定められます。
例えば、干支のそれぞれが特定の方角を持っており、例えば寅年(虎の年)の恵方は東北東、卯年(うさぎの年)では東など、干支によって吉方位が変わります。
これは、その方角がその年にとって最も運気が良いとされる方向であると考えられているため、恵方巻きを食べる際にその方向を向くことで、一年間の幸運や健康を祈願する意味があるのです。
恵方巻きを食べる際は、こちらの情報を参考にしてみてください。