皆さんは、秋の期間がどのように定義されているのかご存知でしょうか?
テレビで天気予報を視聴していると、気象予報士が「秋の始まりですが、まだ暑さが残るでしょう」というアナウンスをすることがありますが、実際の気温と暦上の秋との間には違いが生じてくるため、詳しい期間が分かりにくいのではないかと思われます。
暦において「秋が始まるタイミング」と「秋が終わるタイミング」が、具体的にどのように決まっているのか知っておきたいものです。
そこで、本記事では、日本における秋の具体的な期間などについて説明していきます。
日本における歴史的暦法
江戸時代以前の日本は、現代とは違い、一般的に太陰暦が採用されていました。
この太陰暦は月の運行を基にしており、一ヶ月は平均29日、一年は約354日とされています。
一方、現代の日本では、365日(閏年では366日)の周期を持つ太陽暦が一般的に用いられています。
太陰暦の特徴について
太陽暦では、一年を四季に明確に分け、各季節が約3ヶ月間持続します。
これに対し、太陰暦では、季節と月の間にズレが生じることがありました。
このズレを調整するために、閏月を設けることがあったものの、農業活動には影響を及ぼすことが多かったです。
農業においては季節ごとの作業が重要で、太陰暦の不一致は扱いにくい問題でした。
このため、多くの農民が二十四節気を補助的に使用していました。
太陽暦の特徴について
太陽暦とは、太陽の運行に基づいて一年の長さを定めた暦のことを指します。
これは太陽が春分点を一周するのにかかる時間、つまり地球が太陽の周りを一周するのにかかる時間に基づいています。
太陽暦は、季節と密接に関連しており、農業など季節に依存する活動に適しています。
最も広く使用されているグレゴリオ暦も太陽暦の一種です。
二十四節気の意味について
二十四節気は、太陽の位置を基にして年間を24の区分に分け、各区分に名前をつけるシステムです。
約15日ごとに新たな節気が迎えられ、春夏秋冬という四季を24の期間に細分化しています。
各季節には6つの節気が割り当てられ、本稿では特に秋の節気に焦点を当て、その特徴や期間を詳しく説明します。
秋を構成する六種類の節気とは?
二十四節気に基づいた秋の季節には、以下の六種類の節気が含まれています。
・処暑(しょしょ)
・白露(はくろ)
・秋分(しゅうぶん)
・寒露(かんろ)
・霜降(そうこう)
秋の始まりを告げる「立秋(りっしゅう)」から、秋の終わりを示す霜降までが秋の期間で、霜降の次には立冬が来て冬が始まります。
このように、暦の上では「秋=立秋から立冬の前日まで」と定義されています。
二十四節気では、秋が六つの段階に細かく分けられているのが特徴です。
では、それぞれの節気にどのような違いがあるのかを確認していきましょう。
節気その1:立秋(りっしゅう)
「立秋(りっしゅう)」は秋の訪れを象徴しますが、実際には8月の初旬に設定されています。
この時期はしばしば年間で最も暑い時期にあたり、秋らしい気候とは異なります。
2008年から2039年までの間、「立秋」は閏年の前の年には8月8日、それ以外の年では8月7日に設定されています。
節気その2:処暑(しょしょ)
「処暑(しょしょ)」は夏の暑さが和らぐ節気を指し、お盆が終わる頃に設定されています。
この時期は秋を感じるには、まだ少しだけ早いと言えるでしょう。
1992年から2023年の間、「処暑」は一貫して毎年8月23日に訪れています。
節気その3:白露(はくろ)
「白露(はくろ)」は、朝露が植物に現れる現象を指し、秋の訪れを象徴する季節の節目です。
中国の古代において「白」が秋を象徴する色として選ばれたことが、この名前の由来となっています。
1996年から2023年の間には、「白露」は閏年とその翌年に9月7日、他の年は9月8日に観測されます。
この節気は都市部でも秋の気配を感じさせるもので、特に仲秋の時期、即ち旧暦の7月から9月にかけての中間月に位置します。
節気その4:秋分(しゅうぶん)
「秋分(しゅうぶん)」は、秋の中心であり、季節の折り返し点を表します。
この時期は「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉に象徴されるように、季節の変わり目を感じさせます。
2012年から2043年までの期間中、秋分日は秋の彼岸の中日であり、閏年には9月22日、それ以外の年は9月23日に設定されています。
ちなみに日本では、国民の祝日として「秋分の日」があるため、最も有名な節気の一つだと言えるでしょう。
節気その5:寒露(かんろ)
「寒露(かんろ)」は白露に次ぐ節気で、露がより冷たくなることから名付けられました。
この時期は農作業が盛んに行われるようになり、山間部では紅葉が始まります。
2012年から2047年の間、「寒露」は毎年10月8日に到来します。
節気その6:霜降(そうこう)
「霜降(そうこう)」は秋の最終段階を告げる節気で、朝晩の冷え込みが増していきます。
初めての霜が現れる時期であり、この頃には各地で冬の準備が始まります。
1996年から2027年の間、「霜降」は閏年の前年に10月24日、その他の年には10月23日に設定されています。
節気は、年間を通じて四季の細かい変化を示すもので、「春は青」、「夏は朱」、「秋は白」、「冬は黒」という風に、各季節が特定の色で象徴されているのが特徴的です。
「立秋」から「霜降」に至る六つの各節気は、秋の進行とそれに伴う季節の移り変わりを具体的に示していると言えるでしょう。
まとめ
今回は、日本における秋の具体的な期間などについてまとめました。
秋は、二十四節気に従い、立秋から始まり、立冬の前日に終わるとされます。
時間の経過と共に、354日周期の太陰暦と季節との間に生じるズレが目立ってきました。
このズレを調整するため、太陽の位置に基づく二十四節気が導入され、太陰暦に組み込まれるようになりました。
ただし、二十四節気の具体的な日付は依然として太陰暦に基づいて設定されています。
明治時代以降に取り入れられた太陽暦と比較して、太陰暦では約1ヶ月の時差が存在します。
例えば、江戸時代における正月は現代の立春に相当し、立春は毎年2月4日頃になります。
太陽暦では正月が1月1日ですが、太陰暦ではそれが約1ヶ月後の2月4日頃に設定されています。
現代では立秋が8月7日頃に設定されていますが、太陰暦を用いると、それが約1ヶ月後の9月10日頃になるため、8月初旬に「秋が始まる」と聞くと、直感的に少し違和感があるかもしれませんね。