伊達巻は、日本の新年を祝うおせち料理に不可欠なものとして知られていますが、この料理の名前や由来に関しては、一般的にはあまり知られていない部分があります。
見た目では通常の卵焼きに似ている伊達巻ですが、具体的な違いは何なのでしょうか？
本記事では、伊達巻の由来、独自の特徴、通常の卵焼きとの違いなどに注目して説明していきます。
伊達巻の特徴とは？
伊達巻は「だてまき」と読み、時には「だてまきたまご」とも呼ばれます。
この料理は、白身魚やエビのすり身、溶き卵、出汁を組み合わせて作られ、砂糖やみりんで甘く調味されます。
その後、巻き簾（まきす）を使って形を整えられるのも特徴的です。
新年のおせち料理として欠かせないものであり、その形や意味には重要な文化的な背景が存在します。
伊達巻には、以下の二つの象徴的な意味があります。
・主材料として卵を使っていることから「子宝」に恵まれるという願いが込められている。
これらの意味があることから伊達巻は伝統的な意味合いの強い卵料理だと言えるでしょう。
伊達巻の名称の起源について
伊達巻という名前は、どのような理由でつけられたのでしょうか？
理由に関しては所説あるので、その中の幾つかを紹介していきます。
伊達政宗からの影響？
伊達政宗は1567年から1636年にかけて活躍した東北地方の戦国大名で、仙台藩の創始者です。
彼がこの魚と卵の料理を好んでいたことから、料理が「伊達巻」と名付けられたという説があります。
お洒落な人物「伊達者」が元になっている？
伊達政宗が華やかな装いで知られていたことにちなんで、彼のイメージが「伊達者」という言葉の起源になったと考えられています。
伊達巻が通常の卵焼きよりも豪華であるため、このような名前がついたとされています。
和服の帯に由来する説
伊達巻という名前は、和服を着る際に使用される補助的な細い帯、「伊達締め」に由来するという興味深い説があります。
特に女性の和服において、この帯が使用されることが多いです。
その帯が巻かれた形状から、料理の名前が生まれたとされています。
地域によっては、「伊達締め」自体を「伊達巻」と呼ぶこともあり、その用語が料理の名前に影響を与えたとされています。
伊達巻と普通の卵焼きの明確な違い
伊達巻と卵焼きはどちらも卵を基本とした日本料理ですが、その作り方や味の付け方には明確な差異が存在します。
通常の卵焼き、特に「厚焼き卵」としても知られるタイプは、卵を何層にも重ねてフライパンで焼き上げる方法で作られます。
この卵液には通常、少量の調味料が混ぜられ、固定された形状の卵焼きが形成されます。
また、出汁を加えたバリエーションは「出汁巻き卵」と称されます。
一方、伊達巻は卵に魚のすり身や出汁を加え、砂糖やみりんで甘みをつけた後、巻き簾（まきす）を使用して丸めることが特徴です。
この手法により、特有の柔らかな食感と甘みが生まれ、見た目も豪華で祝い事に適した料理になります。
最も顕著な違いの一つは、伊達巻には魚のすり身やエビがしばしば含まれることですが、卵焼きではこれらの成分は通常使用されません。
卵焼きは単に卵液に少しの調味料（砂糖や醤油）を加え、フライパンで層状に焼くことが一般的です。
対照的に、伊達巻は卵、魚のすり身、エビ、砂糖、みりんなどの調味料を混ぜ合わせた後、薄く焼き、巻き簾（まきす）を使用して丸めます。
この製法により、伊達巻はその特徴的な円筒形と滑らかな食感を得ます。
加えて、伊達巻は巻き簾を使って形を整えるため、表面には独特の模様が形成されます。
これに対し、卵焼きは巻き簾を使用せず、フライパンだけで形成されるため、表面は滑らかです。
伊達巻の興味深いトリビア
伊達巻はその外見と味わいで知られるおせち料理の中でも際立っていますが、関連するいくつかの興味深い事実があります。
巻く方向に込められた意味
伊達巻を盛り付ける際には、巻く方向にも注意する必要があります。
一般的には右巻きが選ばれ、「良いエネルギーを引き寄せる」とされる縁起の良い行為とされています。
一方、左巻きは「エネルギーが逃げる」とみなされ、避けられがちです。
5月24日は伊達巻記念日
あまり知られていませんが、5月24日は「伊達巻記念日」とされています。
この日は大阪府吹田市の企業が設立したもので、伊達巻やその他の卵を使った料理を製造している企業です。
伊達政宗の命日にちなんで選ばれ、伊達巻を日本の食文化として称え、後世に伝えることが目的です。
この日は、特に伊達巻を楽しむことが推奨されています。
地域による味の違い
伊達巻の味付けは、地域（関東地方か関西地方か）によって異なってきます。
関東地方では甘めに仕上げることが多いのに対し、関西地方では出汁を活かした控えめな甘さが特徴です。
関西では「梅焼き」や「伊達巻寿司」などの地域特有のバリエーションも人気があります。
まとめ
今回は、伊達巻の由来や特徴、通常の卵焼きとの違いなどについてまとめました。
戦国大名（伊達政宗）が由来になっているという説があるなど、歴史的な重みがある料理である事が理解することができたはずです。
そして、縁起の良い料理でもあるため、おせち料理にも不可欠な存在となっています。
ちなみに自宅で伊達巻を作る際には、白身魚のすり身を使用するのが一般的ですが、「はんぺん」を使うことで似た食感と風味を手軽に再現することができます。
伊達巻を自作してみたい時は、是非こちらの調理方法をお試し下さい。
