アートやクラフト制作などで人物などを描写する場合、肌色が必要となってくる場面が多いです。
しかし、市販の絵の具では肌色がなかったり、あったとしても期待していたのと異なる色合いの場合が多いのではないでしょうか?
このような場面では、絵の具を自分の力で調合して、肌色を生み出すノウハウが求められてきます。
そこで本記事では、理想的な肌色を作り出す手順や、色の微調整のコツなどを紹介していきます。
基本となる肌色の3色
「スキントーン」という用語が頻繁に使われるようになった今日、多様性を重んじる中で「肌色」という言葉を避ける風潮があります。
2000年代からのこの傾向は、色の名称も「ペールオレンジ」や「薄橙」など、新しい呼び名が登場しているのです。
オリジナルの肌色を自作する方法
絵の具を混ぜることで、簡単に肌色を作成できるので、試してみましょう。
肌色を作成するにあたって必要となる色は、基本的に「赤・黄・白」の3色です。
赤と黄を合わせてオレンジ色を作っておき、その後で白を加えて微調整します。
「赤:1」「黄:1」「白:4」という比率で混ぜると、綺麗な肌色が完成するでしょう。
日本人の肌に合わせる場合、黄色を主にして赤を加え、健康的な色合いを出し、白で明るさを足します。
肌色を「赤、黄、青」で深める方法
基本の3色以外に、「赤・黄・青」を用いる方法もあるので、お試し下さい。
青を加えることで、肌に自然な透明感を与えることができます。
これは人間の肌の下に見える青い血管を模倣するためです。
さらに、ブルーベースやイエローベースの肌の人々には、青の追加が自分の肌色に近づける助けとなります。
透明感を増すためには、白ではなく水を混ぜるのが効果的です。
これらの技法を用いて、自分だけの肌色を作り、作品に個性的なタッチを加えてみましょう。
色の調整を試みることで、独自の色作りの楽しさを発見してください。
濃い肌色の作成方法
濃い肌色や健康的なブロンズ肌を作りたい時は、茶色を基にするといいでしょう。
まず、初めに茶色と白を混ぜて、濃い肌のベースを作成しておきます。
次に赤を加えることで、より自然で活発な肌色を表現することが可能です。
濃い肌色を調整する際に白を加えると、色調を簡単に調整できますが、もし明るさや透明感を増したい場合は、水を加えると良いでしょう。
肌色は個人によって異なるため、様々な色の組み合わせを試して理想の肌色を見つけることが大切です。
これにより、多様な肌色を自在に表現することが可能となるでしょう。
肌色のグラデーション技法
絵の具の単純な混色とは異なり、色の重ね塗りによる「グラデーション」は、異なる色彩を直接紙上で組み合わせることで、より立体感と質感を表現する技法です。
この方法では、一色ずつ重ねてゆくことで、豊かな質感が得られます。
混色が事前に色を混ぜるのに対し、グラデーションは紙上で色を積み重ねることで完成されます。
透明水彩に最適なこの技法は、透明感と深みを同時に表現でき、不透明な絵の具では同様の効果を得ることが難しいです。
肌色をグラデーションで作る際には、光の当たる方向や肌の凹凸を意識し、最も光が当たる部分は紙の白を活用し、影を青や紫で表現し、赤を加えて血色を良く見せます。
最終的には全体を見直し、足りない部分に色を加えることで、よりリアルな肌の質感を再現します。
この方法では、単に色を塗るのではなく、影の位置や光の反射を考慮しながら徐々に色を重ねることが重要です。
市販の「肌色の絵の具」の選び方について
自分で色を混ぜたりグラデーションを試みるのに加えて、市販されている肌色向けの絵の具も存在します。
混色やグラデーションが困難だと感じる方、もしくは手軽に肌色を表現したい方にはこれらの絵の具が便利です。
学校の美術の授業でよく使用される「ペンテル」の絵の具では、「ペールオレンジ」が好まれ、「サクラクレパス」では「うすだいだい」が肌色に近いとされています。
子供の頃は、これらの色で肌を描いた記憶がある人も多いのではないでしょうか。
特に子供が絵を描く際には、これらの色が適していると言っても過言ではありません。
透明水彩の中では「ホルベイン」の「ジョーンブリヤン」が肌色に最適です。
ジョーンブリヤンは色白向けのNo.1や黄色味がかった肌向けのNo.2など、異なる肌色に対応した色が用意されています。
これらの色は「ターナー」や「クサカベ」といった他のブランドでも見られ、ブランドによって色味が異なるため、個人の好みに合わせて選ぶことが可能です。
既に愛用している絵の具のブランドがある場合は、そのブランドで「肌色」をキーワードにして検索し、自分に合った色を見つけることができます。
まとめ
今回は、手軽に肌色を表現するための絵の具選びから、色の自作やグラデーション技法による詳細な表現までを解説しました。
一般的に肌色作りは「赤・黄・白」の絵の具からスタートし、さらにリアルな肌色を求める場合は青や茶色を加えます。
また、色の重ね塗りを活用すれば、より立体感のある肌の質感を描出することができます。
自分で色を調合するのが困難な場合、ペールオレンジやうすだいだい、ジョーンブリヤンなど市販の肌色向け絵の具を使うと便利です。
肌色を描く際は、目指すイメージや使う絵の具に応じて、最適な方法を選ぶといいでしょう。