七夕で短冊に幾つも願い事を書くのはダメなの?子どもにも伝わる優しい解説

日本には、家族みんなで楽しめる季節のイベントがたくさんありますが、その中でも特に夢のある行事といえば「七夕」でしょう。

織姫と彦星が年に一度出会うロマンチックな物語や、夜空を彩る天の川など、七夕にちなんだ言葉はどれも印象的ですよね。

そんな七夕で欠かせないのが、「笹の葉に短冊をつるすこと」ではないでしょうか。

この一大イベントでは、子どもも大人も、「どんな願いを書こうかな?」と心が躍るものです。

でも、実は…短冊に願いごとを書く時には、ちょっとした守らないといけないルールが存在するのをご存知でしょうか?

本記事では、七夕で行われる願い事の意味や理由などについて分かりやすく説明していきます。

短冊に願いをいくつも書いちゃダメ?その理由とは?

短冊はもともと小さめの紙ですし、そこに一つだけ願いを書くことで、気持ちがしっかりと伝わりやすくなります。

さらに仏教の考え方では、いくつも願いごとを書くのは「欲張り」とされ、慎むべき行為とされています。

欲を出しすぎると、本当に叶えたい願いがかすんでしまうかもしれません。

だからこそ、ひとつの短冊には、ひとつの願いを丁寧に書くことが大切なんですね。

七夕の由来や昔話を知っておくと、行事をもっと深く楽しむことができます。

ルールや意味を知って、心を込めて願いごとを書いてみましょう。

七夕にまつわる3つの起源と伝えられる物語

ここからは、七夕の3つの起源や、古来から伝わる物語を紹介していきます。

「織姫と彦星」の物語

…日本で最も親しまれている七夕のエピソードです。

夏の夜空に輝く星、ベガ(織女星)とアルタイル(牽牛星)が、旧暦の7月7日に天の川をはさんで最も近づくことから、「年に一度だけ会える恋人たちの星」として語られるようになりました。

この天体の現象に想いを重ね、織姫と彦星の切ない再会の話が生まれたと考えられています。

「棚機女(たなばたつめ)」という古代の風習

…日本には古くから「棚機女」と呼ばれる神事が存在していました。

お盆の準備に入る前、選ばれた清らかな少女が、7月6日に川のそばの機織り小屋にこもり、神様に捧げる衣を一心に織り続けるという儀式です。

この行事が夕方(たなばた)に行われていたことから、やがて「七夕」という言葉が生まれたとも言われています。

中国の伝統行事「乞巧奠(きこうでん)」

…古代中国の宮廷では、7月7日に織女星にあやかって、女性たちが手芸や裁縫の上達、また書の巧みさを願う儀式が行われていました。

この文化が日本に伝わり、七夕の習慣として根づいたとされています。

七夕飾りにはどんな意味があるの?

七夕の笹飾りには、それぞれに深い意味や願いなどが込められているのをご存知でしょうか?

見た目の美しさだけでなく、一つ一つの飾りの由来を知ることで、より心を込めて七夕を楽しめますよ。

紙衣(かみこ)

…かつて、神さまに捧げるために乙女が織った衣を模した飾りです。

笹の最上部に飾られることが多く、「針仕事や手先の技術が向上しますように」という願いが込められています。

投網(とあみ)

…魚をとるための網を模した飾りで、「食べ物に困らず、豊かな収穫がありますように」といった願いを象徴しています。

くずかご

…飾りづくりの際に出た紙くずを入れるための小さなかごで、無駄を出さず、物を大切に使う心を育む意味があります。

さらに「清潔に、節約の心を忘れずに」というメッセージも込められています。

吹き流し

…織姫が織った糸を表現した飾りで、長く垂れる形が特徴で、「健康で長生きできますように」と長寿を願って飾られます。

商店街などの七夕イベントでは、豪華なくす玉と一緒に飾られることもあります。

巾着(きんちゃく)

…昔のお財布を模した飾りで、お金や財産にまつわる願いが込められています。

「お金を大切に、しっかり蓄えることができますように」「商売がうまくいきますように」といった願いにピッタリです。

折り鶴

…家族の人数や年の数に合わせて折ることもあり、「家族みんなが元気で長生きできますように」という願いを込めて飾られます。

子どもに七夕をどう教える?優しく伝える方法をご紹介!

お子さんに七夕を伝えるときは、まずは親しみやすい童謡「たなばたさま」を一緒に歌ったり、読み聞かせたりするところから始めるのがおすすめです。

童謡「たなばたさま」の歌詞

まずは、童謡「たなばたさま」の歌詞の一番を紹介します。

笹の葉さらさら 軒端(のきば)に揺れる
お星さまきらきら 金銀砂子

続いて、童謡「たなばたさま」の歌詞の二番の紹介です。

五色の短冊 私が書いた
お星さまきらきら 空から見てる

この歌の2番に登場する「五色の短冊」には、それぞれ色ごとに込められた意味があることを伝えると、子どもたちにも理解しやすくなります。

五色の短冊と自然界の繋がり

まずは、五色の短冊を自然界で例えると、どのようになるのかを説明します。

①緑…草木の生命力
②赤…火や太陽の力
③黄…大地の恵み
④白…鉱石や金属
⑤黒(または紫)…水のエネルギー(短冊では紫を用いることが多い)

色は単なるイメージだと思われがちですが、上記のように自然界と密接に関係しているのが特徴です。

五色それぞれが表す願いの方向性

五色の短冊が表している願いの方向性は、以下の通りとなっています。

①緑…努力や自分磨きに関する願い
②赤…家族やご先祖への感謝を込めた祈り
③黄…友人関係や人とのつながりを大切にする心
④白…約束を守る、責任を果たす意志
⑤黒(紫)…勉強や仕事のスキルアップ

このように短冊の色によって願いの方向性が違ってくることを理解しておきましょう。

願い事と短冊の色の選び方

続いて、願い事に対応した短冊の色の選び方について説明します。

①緑の短冊:夢や目標の実現、習い事の上達など
②赤の短冊:家族の健康や幸せを願うときに
③黄の短冊:人間関係の円満、恋の成就を願う場合に
④白の短冊:世の中の平和や秩序を願うときに
⑤紫の短冊:勉強運や仕事運アップを目指すときに

自分自身が叶えたい願い事に対応したカラーの短冊を選びましょう。

短冊に願いを書くときのポイント

七夕で短冊に書く願い事は、できるだけ具体的に明記して、一つだけに絞るのが基本です。

また、「~できますように」といった控えめな表現ではなく、「~できるように頑張ります」「~になります」といった、前向きな宣言スタイルで書くと、願いがより強く伝わります。

つまり、七夕での願い事で押さえておきたいのは、以下の2点です。

・短冊1枚に願い事は1つだけ
・願いは自分の意志を込めて“断言”する形で書く

そして、七夕の飾りには折り紙で作る星や吹き流し、ちょうちんなどの飾りもあります。

それぞれに意味があるので、お子さんと一緒に作りながら、それぞれの意味を教えてあげるのも、楽しく学べる工夫になりますよ。

まとめ

今回は、七夕で行われる願い事の意味や理由などについてまとめました。

七夕は、星に願いを届ける特別な日。短冊には、たくさん書くのではなく、心から叶えたいことを「ひとつだけ」書くのが基本です。

一枚の短冊に思いを込めることで、願いごとがよりしっかりと伝わると言われています。

また、「~できますように」ではなく、「~できるようにがんばります」と自分の意思を込めて書くと、より前向きな気持ちになれますよ。

願いごとの色にも意味があるので、どんなことをお願いしたいかによって、短冊の色を選んでみるのも楽しいですね。

お子さんと一緒に、意味を知りながら短冊を書いたり、飾りを作ったりすることで、七夕の行事がもっと心に残る素敵な時間になりますように。

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